9月14日 餌を追わない岩魚たち

 車止めから下降すること30分、等高線を数えて70m下がって一旦入渓。ここからさらに標高差50mの沢登りを1時間。今日の釣行予定の支流出合、標高300mに到着。ここまで登ってくる途中にも、盛んに足元から走られて何度も竿に手を掛けるが、リリースしたつもりで先に進もうと支流出合を目指す。支流出合から左支流(上流に向かって)には、今シーズン1度入渓し良い思いをしている。右側本流遡行は今回が初入渓だ。今シーズン最後の釣行となるかもしれない入渓場所を選ぶのに、今年一番の良い思いをしたいと、この渓に来た。



 出合から一歩踏み込んだだけで、振り込もうとしていた瀬尻から上流に向かって走られた。おいおおーい、居る居る、居るぞ。同行のS氏もその走る影を見ていて、にんまり と二人で顔を見合わせる。いつもの藪沢とは違い、最初から淵で底を取る必要は無く、瀬尻から丁寧に餌を流し、アタリを待った。3本程引き抜いてから、なんかおかしいぞと、こんなに気を使って岩魚釣りをしたことが無い。瀬尻に抜き足、差し足で近づいたり、広い瀬で餌を振り込むポイントをピンポイントで慎重に振り込んだりしている自分に気が付いた。ここの岩魚はなぜか餌を追わない、喰ってこない。それに気が付くのはそんなに時間は必要としなかった。ここの瀬には絶対付いているぞと思い、2度、3度と餌を流すが、喰ってこない。居ないのかと、瀬を諦めて先の淵に向かうとその足元からスウート走られる。浅い瀬だとバシャバシャと走り出す始末。見ているより芸がない状態。藪沢のへぼ釣り師が平場ではまったく竿が立たない状態だ。淵では確実に底を取り餌を喰わせてユラリユラリと引き抜いた。底から引き抜く時間が長いとその感触を充分に楽しむ事ができる。



 流木ダム、大物の棲家だ。S氏が慎重に振り込んでデカ岩魚を引き抜きニンマリ。



 瀬尻、右の石の周りでユラリユラリ。鼻先に餌を流しても、喰ってこなかった。諦めて写真を撮るために近づいても逃げない。なんだ、ここの岩魚は、そんなに餌があるのか。いや岩魚は満腹でも餌を追うはず。前に、イモリを半分飲み込んだ状態でさらに餌に喰らい付いてきたから。



 なんぎ して瀬から引き寄せた1尾。瀬尻に張りついて居る岩魚は、その瀬の大きめの石の上流側に身を隠しているから姿・影が見えない。そこを狙って餌を流す事になる。でも、今日のこの沢の岩魚は、その餌に喰いついてこない。岩魚は猿でも釣れる と前に書いたが、この沢の岩魚はそうもいかないようだ。





 太陽が真上に来ると、深い渓もその底まで強い陽射しが射し込むが、ウエーダーを履いた足は冷たい流水の中と沢を走る心地よい風が、釣り人の全身をくるんでくれる。落ち込みと連続する小滝がグングン標高を上げる。簡易高度計が400mを指している。

 





 5m程のナメ滝を左から登ったところが、この連続した落ち込み。この沢はまだまだ深い。出合から竿を出し、3時間の遡行だが、源頭までの半分も攻めてないと思う。とても日帰り釣行では責めきれない沢のようだ。高度計が450mを指す。3時間で標高差150mを釣りあがっただけだ。舘のヒィールドで源頭・魚止め を見られないのは、この沢だけだ。でも、今度は時期を早めて遡行してみよう。その時は岩魚ももっと喜んで迎えてくれるかもしれない。それは釣り人の欲かな。



 見わたすと、ブナ林の中にミズナラの木が見える。この急斜面にしがみ付いて(釣り人からはそう見える)そのミズナラを目指して、舞茸採りがあっちの木、こっちの木と渡り歩いている。どうも未だちょっと早いようだ。降りてきた人に聞くと 『まだちいちゃい、小指ほどだ』 と言う。それでも又登っていった。



 たぶん イワテシオガマ (秋田県準絶滅危惧種) 昨年も同じころ(9月9日)尾根を越えた隣の沢で逢っている 今回で2度目。



 きのこ のなる木。 幹周り2mほどの枯れ木にビッシリと茸が。なんというきのこかな?食べれるのかな?美味しそうに見えるけどな。図鑑との絵合わせでは、ムキタケ か エノキタケ かな?
 毒きのこ です 要注意 ツキヨタケ です。9月20日追記
 食用のヒラタケ、ムキタケ、シイタケなどと間違えて食中毒を起こす人が多いようです。識別は、足が傘の片隅についていて、足を割ると基部に黒い斑点がある、その黒い斑点が暗いところで発光するそうです。この茸も黒い斑点がありました。





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