4  仲間を増やしたい、繁殖行動と成長

   仲間を増やしたい、産卵床を作り産卵と受精行動
     産卵と受精の目、産卵の準備は夏の終わりから始まり、初秋にそれは本番を迎えて、賑やかに
     なり、本流から支流に遡上し、その瀬を探し、産卵床を懸命に作り、そこで自然繁殖をする、そこ
     はダム、堰堤、滝等で封鎖された生息域かもしれない、そのそれぞれの生息範囲での産卵受精
     行動、それは俺たちの命の絆だ。稚魚放流、成魚放流、俺たちの仲間に違いはないが、これは
     釣り人と漁協のワガママではないのかな。
     本流から支流、さこから更に細い支流に遡上、流れは細く、底は小石で産卵床を作るにはこれ
     以上の淵は無いよ。メス岩魚が夢中になって床作りをしている、尾やヒレで横向きになったり、仰
     向きになったり、大変なのだよ、ヒレに傷が付いている、この細い支流に何か所かの産卵床が見
     えるよ、仲間のメス岩魚が頑張ったのだ。

     
                   産卵床作りに頑張っているメス岩魚

     産卵床が出来て、流れの水温が下がり始めて12℃から5℃がオラたち岩魚の産卵適温で産卵
     適期なのだ、そなるとオス岩魚はメス岩魚に寄り添い体をコスリ合いながら産卵を促がすのだよ
     、そしてオス岩魚が受精させるのだ、これが俺たちの一番大事な子孫繁栄のための働きなので
     す、天然岩魚繁殖に大事な期間なのだ、だからこの時期を人間の釣り遊びを遠慮してもらってい
     る、秋に入り水温が下がり始めたころから春の水温が徐々に上がり始める頃までが竿出し禁じ
     た禁漁期間なのだ、守ってくれよ。

     次の画像は山女魚の受精を促がす 追っかけっこ 、オラたちもこのような追っかけっこをします
、    メス岩魚にオス岩魚同士が競争をし、ケンカをしておっかける。

     

          おっかけ、競争に勝って、メス岩魚に寄り添うオス岩魚

     

   俺たち岩魚の顔つき、体つき、模様(斑紋)、体色は山ひとつ、沢1本越えると本当に違う、それに
     山、渓を流れ下る水量、水温の違い、バックとする山の標高、春先の残雪の状況、それらで水温
     の差が見られる、岩魚釣り解禁当初の渓の水温は、低い流れで4℃〜5℃、里山の渓で6℃〜8
    ℃、その水温差は3℃くらいある。その水温差で俺たちは大きく育ったり、あまり成長できないまま
    差が生じてきたのだ。

    

   漁協で設定する禁漁区間、渓でも俺たちの繁殖、増殖で数による効果はあるのだが稚魚放流、
     成魚放流と、その禁漁期間に多くの放流で漁協としては成果ありとするだろうが、俺たちの仲間
     ではあまりにも異種増量で困ることが多い。今まで此処に棲みついてきた仲間とは余りにも体形
     、体色、斑紋が違い過ぎる。又、人間のワガママで作られたダム、堰堤等で本流、支流の上流部
     、その奥の源流部の狭い閉塞地での繁殖は近親交配となってしまう、そうすると形態の違いがて
     できてしまうよ。

     
         針が掛かっているのに暴れることも無く、ゆっくり寄ってきた綺麗な斑紋岩魚
         瀬から上げないで針ハズシして放してよ

     
              模範的な斑紋    黄金岩魚

     
           体色が青色ではなく緑色、苔生す渓谷にこの体色の仲間が居るんだよ

     
        体色が赤色から黄金色、沢1本違うと俺たちの仲間がちょっとずつ違うんだよ

        冬のサビで真っ黒くなったけれども夏頃までには綺麗な体色になる
        陽の射し込まない深い淵の奥にはこのような黒いままの仲間も居る

     

             

                生息域を閉鎖区間にしてしまう魚道の無い堰堤

                頭部まで乱れ斑紋が出てしまったよ

     


     

   尺岩魚、釣ばか達が勝手にそう呼んでいる
     俺たちの仲間には成長過程で、その居着いている渓によって早く大きくなった仲間が居るんだ。
     その棲息環境による成長の違いは産卵から稚魚、そして成熟期までの1年目、2年目、でデッカ
     クなる仲間は見えてくるよ。稚魚期から直ぐ棲みつく場所選びでナワバリ争いをするんだ、源頭よ
     り上流と好い場所を選べた仲間は餌も豊富でいっぱい食べて大きくなるのだ。もう一つは、食べ
     物の違い、前に画像が有った様に共食いで岩魚を喰ったり、カジカ、カエル、サンショウウオなど
     両生類を食べる、これらは川虫、落下昆虫に比べて栄養が有り、仲間がよりデッカクなる。

     

     さらに生息域の水温の違い、バックとする山によってはその支流の水温差が2℃から3℃くらい
     でてくる、俺たちの釣り解禁の頃の水温は3℃の渓もある、又、4℃〜5℃ほどの渓もあるのだ、
     俺たちの棲みやすい水温は5℃から夏で15℃位が一番棲みやすいのだ。その滴水温がデカに
     なるすいおんだよ。


   異形の仲間も居る
     上顎、下顎の無い岩魚

     チントウイワナ上顎の無い岩魚でもなさそうだ。上顎と下顎と両方とも短く無いように見える、
     秋田では能代の米代川支流で上顎の無い岩魚、チントウイワナが繁殖している情報があるが、
     ここ太平山水系で堰堤、そして滝で封鎖隔離された生息域で繁殖している岩魚君なのだ。
     2012年に2尾、2013年に1尾、2014年に1尾、とそれぞれの支流は堰堤、滝で支流間の移
     動棲息は出来ない源頭部の渓、釣り針の付いたブドウ虫に喰いついた、9号の針にやっと喰い
     付いたようだ、アタリを取ってから引き上げる迄暫く遊ばせてから掛かってきた、上下顎が無いよ
     うなので針掛かりするまで時間が掛かかった。顎が無いのと、白斑点が大小とバラバラと体形、
     体色の違い、ただ集団化しているようには見えない。それぞれの隔離棲息区間での近親交配
     か、それ以外の何かの繁殖と思われる。

     
               
     
               2012.5.13.雄物川支流岩見川支流
       滝と滝の間の閉塞区間で釣り針に掛かった2尾、体長はどちらも22cm、1尾は細く痩せている


          
          2013.8.28. 雄物川支流岩見川支流   堰堤から滝までの区間

          
               2014.7.14.雄物川支流岩見川支流  2013の堰堤の下

     ここ太平山水系の源頭部にも異形種の繁殖が最近発生してきているのかな、釣行の際には
     注意しているよ。米代川水系のチントウイワナだけでなく、他県ではチントウヤマメも棲息が
     確認されているようだ。これからはもしかして異形種ではなく、今の岩魚、山女魚は成長進化
     過程の途中なのかもしれない、俺たちイワナはもっと、もっと進化するのだ。
     そうか、そうだったのか。
     

           5  山、渓にはいろいろあるよ    すすむ

           俺たち 岩魚の目線    もくじにもどる