渓流山歩きの独り言









 

 

         溪歩きの独り言Ⅱ

 

 

 

 

 

      山岳渓流、山釣り、それが大自然との対話

 

 

 

 

 

 

岩魚の舘

              阿部 正幸







     溪歩きの独り言Ⅱ もくじ

 

 

ページ

独り言

ページ

独り言

1-2

孤独の山釣り

61-62

岩魚の目

3-4

雪は宝物、水、流れ、は大自然

63-64

目一杯生き

5-6

春の溪もそろそろ

65-66

暴れまくる尺岩魚

7-8

早春の細溪源頭部

67-68

食べたよ、美味しい餌

9-10

雪洞の発見

69-70

早春のデカ岩魚

11-12

芽吹きの沢行き

71-72

斜光での引き合い

13-14

秘境を目指す釣りバカ

73-74

暴れまくる岩魚君

15-16

連なる山岳渓流、そこが遊び場所

75-76

暴れまたデカ岩魚、満足できる面構え

17-18

遊びに付きあっただけ

77-78

体色、斑紋、白斑点

19-20

流芯からの引き回し

79-80

自然繁殖行動

21-22

暴れる若者

81-82

早春の幼魚

23-24

舘の隠れ沢

83-84

茶体色のデカ

25-26

釣りバカの想い

85-86

エゾイワナ

27-28

廃林道から広葉樹林

87-88

棲息域の流れが水色

29-30

滝上は最高の釣り溪

89-90

大物だ、流れに戻す

31-32

年老いた渓流釣り師

91-92

デカ岩魚(頭部まで白斑点)

33-34

落込みから深淵へ

93-94

岩魚の群雄

35-36

足元から茶体色のデカ

95-96

飛び上がった岩魚

37-38

連続落込みでの引き上げ

97-98

稚魚を食する岩魚

39-40

流から激闘で引き上げ

99-100

不思議な岩魚の顔

41-42

沢遊びほど楽しいものはない

101-102

岩魚、山女魚

43-44

喰い付いたら手元に来てから放流

103-104

山女魚の異種か

45-46

飛びついた岩魚君

105-106

山女魚が浮いて針餌に浮き上がった

47-48

精悍な面構え

107-108

踊り子草、オドリコソウ

49-50

ネット引き上げ

109-110

カタクリの群生

51-52

やっと引き上げサイズ

111-112

早春の白鳥

53-54

日陰から引っ張り出したぞ

113-114

びっくり熊ではなかった

55-56

斜光の射し込む流れ

115-116

釣行時の熊対策

57-58

深く食い込まれた釣り針

117-118

釣魚大全

59-60

岩魚の叫び

119-120

岩魚の大好きな捕食餌ブナ虫







孤独の山釣り

 



 


                            
  


 山釣りは孤独の釣りと言われているけれど、

こうして渓谷に独りで居ると,この大自然を制覇している英雄者

となっている気分が自己満足なのだ。

独りでの漂白(サスライ)は、自分の好きなことにたっぷり

時間を費やせるから気が楽なのだよ、

そしてその悦びを味わえるのだ。

もちろん、独りで居る寂しさや心細さはある、

足元が滑って転びはしないか、また、熊には会わないだろうか、

といった不安感は付きまとう。

そしてそこには、緊張感も伴ってくる。

でも、そこで得た自信と心構えが人生の中で必要なのだ。

釣りバカの最大の魅力はもちろん岩魚にあるのだけれど、

渓流釣り、山釣り、は, 単に釣りと言うことのほかに、

一歩、一歩自然をかみしめる悦びがある。


                                 


雪は宝物、水、流、は大自然だ






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雪山が最大の自然だ、山、山岳、里山、そこに雨が降り、

雪が降り、それが山の地力として蓄えられ

一気に流れ出るのではなく、季節が巡って雪融けと共に水となって、

渓谷、本流に流れ出る、

それが田園、田んぼ、の食料、穀物を満たす。

そこ森、河川には木々樹木が成長し、草、山菜、茸、それに虫、鳥獣、

流れには水中昆虫から魚類が棲息している。

大自然の、成せる技なのだ。




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春の溪もそろそろ








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 春の渓もそろそろ、そろそろ初夏を感じる頃、

それでも未だ凍った雪の塊がところどころに,

転がっていたり、斜面にへばり付いたりしている、

天候によっては、雪代の増水、濁流

が未だに遡行の邪魔をする、

それでも。激しい流れも旋律に聴こえて、

これから迎えて、

のんびりと遡行を楽しめる

夏の山釣りが始まるのだよ。




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早春の細渓源頭部









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  早春と言っても、渓谷では5月中旬の雪渓、

此処まで登って来ると、流れの水温

が5℃以下で岩魚君達は未だ岩下で動いては居ないよ、

ちょっと下流で残雪のない個所の水温は 

5℃~6℃程だと流れに出て来てお腹が空いているので、

針付餌に飛び付いて来るよ。

でも、このような雪渓を見たくて、歩きたくて、遡行してくるのです。

雪渓の下、穴を潜り、雪厚のスノーブリッジ上だと割れて落ち込むことも無いだろうと、

見て、ブリッジを渡ったり、楽しむのだよ、カメラを向けるのも楽しみ。

未だ、暫らくは崩れそうもない、

ここを潜って、上流に遡行した、



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早春に雪洞の発見、晩秋はキノコ木の発見








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 いつもの渓に、

何回も通えば知り尽くされるというものではなく、

来るたび、

遡上するたびに違った自然を発見できる、

次回に来ると、

また違った自然が

見えて来るのだよ。



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芽吹きの沢行き










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  沢に行きたい、渓谷に行きたい、と強く思うとき、

それはなにがなんでも岩魚を釣りたい

と言う気持ちとは少し違う、

では、釣り人が何しに渓谷に行くのだと笑われそうだ。

 芽吹きの季節、この時期を毎年心待ちにしている、

淡い萌黄の渓をのんびり、ゆっくり、と歩くだけで満足、

竿を振り回すのは二の次、

この、芽吹きの一番好い時季は、

そう長くは無い、

その一番好いときに歩き回りたいのだ

山野草の群雄、花咲き、も凄い時期。

 

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秘境を目指す釣りバカ










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  釣りバカは、周囲が大自然に囲まれた場所、

人里からズート離れた山渓、人の気配のないポイント、

簡単には辿りつけない、本流から支流に、又そこから又支流へ

高度の有る渓谷源頭部、とにかくこうゆう場所が好きで、

竿を持って向かうのです。

どうしてそんな所へ、そのわけは単純なのです、

本流に比べて水量が少なく渡渉、遡上が楽なのだ、気持ちの好さと、

釣れるかなとの想いが、単純なのです。

自然豊かな渓谷こそ、岩魚がたくさん棲息しているだろうし、

手付かずの自然の中での釣は気持ちが好いよ。

そこは、自分の桃源郷かも知れない。

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連なる山岳渓流、そこが遊び場所







            


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 1000m前後の山並みが連なっている我が釣り場は広いのです。

        太平山が1170m、

        白子森が1179m、

        馬場目岳が1057m、

        番鳥森が1130m、

       丹波森が1031m、

そして700m~1000m程の山。

これらは秋田市とその周辺に水を注ぐ山なのです。

そしてその山並みを削り込んでの渓谷には岩魚、

山女魚が生息する、そこが我が遊び場所です。

      おいそれと遡上できない深く険しく原始の渓谷もひっそりと在り、
又、里山で、のんびりと歩ける緩い流れの谷、瀬もある。

そこで、岩魚君と遊び、山女魚さんとも遊ぶ、又、

季節には山菜採りもしながら、

花の咲く時期の山野草を眺めながらカメラに撮る。

又、遭いたくはない熊さんにも逢うのですよ。

渓谷の奥に生息する岩魚、野性味やその風貌や性質が荒々しく、

それは、単に見た目だけの印象ではなく流れに迷い込んだ、

カエルやノネズミなどを一呑みにする貪婪さも岩魚なのだ。


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  びに付きあっただけ









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 川底の小石が見えるほど、

又、数えられるほど透き通った清楚な水の流れ、

流れの幅もそんなに広くなく、期待出来そうな淵、瀬。

左淵からしゃがんだ状態で淵の最上流に振り込んだ。

即、目印を引っ張り込まれた、竿を持つ手は瞬間に

緊張しカマエル。

瀬が浅いせいか引き込むようなしぐさが感じられない、

それでも中硬調の竿を十分に絞ってくれるが、

岸に引き寄せると、簡単によって来た、

ゆっくりと引き上げると、暴れることも無く

針を咥えた顔を見せた、

体長としては小さいな、軽く上がってきそう。

    

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 流芯からの引き回し











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 2本の細渓の合流の落込み、

デカが居るかもと期待するが、流倒木が邪魔しているよ。

何所に餌を振り込んでも、引き上げ、引き込み、

ルートを取りにくい。

そうゆうのは釣れてからでもいい事だけれど、

どこに餌を入れるかも見極めが出来なく暫らく見極めるが、

好ポイントとするか所が決め付かない。

竿先を絞って右の落込みの白泡を狙って、

掛かったらまっすぐ手前の瀬に引きネットでスクイ捕る

作戦、そのとうりにいくかな。左の落ち込みはちょっと無理だ、

狙い道理に、深みのある岩陰にポイントを絞って狙った。

オオー来たよ、グイグイと来た、倒木で狭い淵だよ、

小石の在る岸にしゃがんで竿を横に寄せるように引いた、

デカだ、狭い淵でバシャバシャ暴れているよ、

ゆっくり引き込む、ちょっとの距離だが、簡単には寄ってこないよ。

竿を立てて、ネットを腰から外し、

手元でジャブジャブしているのを、ネットで受けた。

やっぱしデカ、尺岩魚だ。


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暴れる若者







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3年ぶり、久しぶりに入渓した渓、

途中、林道、廃林道が崩落して、此処まで

入渓するには、廃林道を1時間以上歩かなければならないので、

来ることが出来なかった。

歩くのは負担に感じないのだが、この辺は熊さんが多いのだよ、

今日も、小熊との遊んだ跡地、いっぱい食べた糞の跡、

賑やかだよ。これが自然の山風景なのだ。

セエフテーエアーホーン鳴らしてのんびりと草藪の廃林道を進む。

辿り着いた渓で充分に楽しむことが出来たよ、

大勢の岩魚君達が歓迎してくれたし。

2.3年間竿出し無だったから、岩魚君達もデッカクなって居たよ、

岩魚バカさん、釣バカさん、暫らくぶりだね、と、

歓迎してくれたよ。

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  舘の隠れ沢











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自分以外、誰も入り込まない渓、

細渓で倒木流木、流れを塞ぐ大岩、

人知れず残存する秘境ともいうべき地域である。

そこに岩魚達の住み家として格好の淵や、

せせらぎ、やざら場、や 瀬がある。

本流への流れ込みは、樹木で入り口が分かりにくい、

入り込めないのだな。

この細渓からの岩魚、の持ち帰りは無いよ、

引き込みからの楽しみ、

デカの竿絞りの楽しみ、

楽しめる細渓だよ。

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釣りバカの想い







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山釣りの本来の姿は、

人間の社会から離れた自然との調和の中にあることかな、

だから、本当に楽しい山釣り、渓流釣りは、

自分から求める物ではなく、

山や、渓谷を

唯ひたすらに歩くことだな、

そこに自分の歓びが生まれてくるよ。

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     廃林道から広葉樹林








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廃林道から広葉樹林、雑木林に入って行くと、

風に揺れる木々、枝々のきしみが、

まるで朝の林の挨拶のように聞こえる。

うらうらとした春の陽ざし、

抑制されていた自然と風景を、

いっせいに呼びさましてくれた。

そこから、薮をくぐって渓に下りると、

流れの音は激しく、足元の岩を

巻き込むように流れている。


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     滝上は最高の釣り溪









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 この両方の滝まきコースはシーズンに

Ⅰ回は巻き上がって楽しむコースだよ。

でも、両方とも、巻き込むには容易でないのだ。

両岸には切り立った岸壁が高さ30m、

巻くコースによっては50mの程の壁をよじ登る時もある、

登って、後に楽しめるので、

慎重に、滑り込みの無いように、這い上る。

登りきったら、そこの流れは小石や砂ではなく岩盤ばかりだ、

そして、ところどころが、掘れ込んで深い淵に

なって居るが、ひどい難所なのだ、

領出した岩壁が途切れることがなく、

途切れるところはガレ場なのだ。

ここ、岩魚が潜んでいる棲息域なのだ、

自分以外此処を登ってくる釣り人がいないので、

十二分に楽しめるよ

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    年老いたかな、渓流釣り師








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 体力はやっぱり衰えてきている、

それでも幸いに今でも、渓流の釣りをやっている。

岩魚に、誘われれば岩場、瀬を足場にして源頭部迄も遡上している。

のんびり、ゆっくり、と遊んでいるよ、

咲き誇る山野草に癒されながら、

木々樹木を眺め、餌に飛び付いて来る岩魚君とも仲良く遊んでいる。

大物を狙うぞと、山岳渓流の奥の奥、高さのある滝を巻いて、

最後の魚止めの滝を狙い、

遊びに夢中になっていた、その頃を思い浮かべては、

今の、わが身を囲む森林樹林、

急流とも会話を交わしながら、

のんびり流れの緩い瀬をのんびりと遡上している。

自然の山、渓は何回通っても知りつくされるものではなく、

来る度に違った自然,

にあふれた渓流を発見できる。

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   落込みから,深淵へ









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 浅く広い瀬の流れから、急カーブを描いて右に曲がっている、

その先に見えたのが、落差があって、

2段、3段と続く、大きな落ち込みの連続、

その流れは白泡を立てて、岩壁を叩きこんでいる、

其処から先が水流によって深々とえぐられている。

餌を振り込む、

狙い場所としてのポイントを決め込むには最高の淵だよ。

白泡の淵の深みに狙いを定めて、

針付ブドー虫を投じた。

間髪を容れずに糸が深く吸い込まれて、

中硬調の竿が弓なり状態、

懸命に竿を立てながら、引き込みに合わせながら、

っくりと岸に引き寄せ、力を込めて岸に引き上げた。

岩魚も思いもよらない餌獲りの変化に驚き、

力の限り暴れまくったようだ。

川の流れにも環境の変化が有るよと、

教えてやってから、

流れに戻ってもらった。

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        足元からの茶体色のデカ









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 幅広い流れの本流から、いつもの支流、細渓に入る。

昨日、雨が降ったので渓の流れがちょっとは良いぞ、

樹木の深緑も風を受けて気持ち良く揺れて、

今日は気持ちが好いぞと枝葉と話しをしているようだ、

その楽しめそう支流に入って、即、竿出しだよ、

ブドー虫を針に付けて上流の深淵に振り込んだ。

カリカリと即アタリ、あれ小さいかも、足元にも簡単に引き寄せられた、

やっぱし可愛い岩魚君、この調子で5~6匹ほど放流しながら遡上する。

目印がすぐ足元の黒い岩にすれすれに流されて来たその一瞬、

目印が消えた、根掛かりでもして消えたのかなと思ったが、

そうではなかった、

瞬時に判断して手首を返して、

竿を抱き抱える様にして立てたら目一杯に絞り込まれ、

ミチイトもギリギリと思われるくらい重いよ、

未だ姿は見えないが相当のデカのようだ、淵が狭いので引き込みは無い、

    ゆっくりと岸の手元に引き寄せる、反転しながら暴れて抵抗する、
キタ、ジイットしているよ
,来たよ、ゆっくり岸に引き寄せる、
反転しながら暴れて抵抗する。キタ、来たよ、デッカイよ。
ネットでゆっくりと岸に上げる、
この細渓に、このデカが居るとは、

本流から遡上してきたばかりなのに、

遊びに付きあってくれた、

ありがとう。

体色が茶体色なのがここの渓では珍しいよ。

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      連続落ち込みでの引揚げ










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  遡上してきた渓は支流の支流で細いのだけれど、

ここは連続落ち込みで、それぞれの淵が結構広くなっていて、

岩魚達が留まりやすいのかも、青みを帯びたその流れに改めて

心が洗われる想い。

1回目、2回目ともに落込みの白泡にブドー虫を振り込んだが、

アタリが感じられない、白泡の中の岩魚を狙うのではなく、泡から

瀬の頭にかかる流れが釣りアタリのポイントなのだ

3回目で目印が勢いよく消し込まれ見えなくなり、

ガツガツ、ゴツゴツと、明確すぎるほど手応えが、

細糸と中硬調の竿をとうして伝わってきた、

そこを鋭くアワセをくれる。相手が重いぞ、緊張と興奮するよ。

相手が今居る淵から下の淵に下がろうとするが、

そうは、させまいと流芯から岸よりにゆっくりと引き寄せる、

それでも暴れるよ、源流域の岩魚君はとにかく元気だ。

最後はゆっくりと岸に寄って来た。

岩魚君を釣り上げた瞬間は何とも言えないが。

釣果云々よりも、中硬調竿を通して、

今居る自然との対話をすることが大好きなのです。


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     流から激闘で引き上げ










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   瀬の流れはかなり荒い、白泡の切れ目や石の陰などを丹念に探ってみる、

 アタリはないな、来ないな。

 絶好のポイントが見えてきた、岩盤の露出した渕、

 対岸は切立った岸壁、岩盤の下の深さのある淵に狙いを付ける、

 淵の頭は白泡を立てて岩盤にブッツケで当たっている。

 その淵の深みに狙いを定めてブドウ虫の付いた針を投じた。

 カンパツを入れずに糸が水中に引き込まれた、

 竿は弓なり状態、懸命に竿を立て、

 岩魚の迷走に合わせて上へ、下へと、移動しながら、

 徐々に下流の岸に引き寄せてから、

 竿を目一杯引き込まれながら、岸に引き抜いた。

 直ぐ、放すからね、遊んでくれて、ありがとう。


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       沢遊びほど楽しいものはない






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今日は風もない静かな森だ、枝葉の揺れる音、鳥の鳴き声も聞こえない、

廃林道のちょっと広くユータン出来る個所にジムニーを止める、

シーズンに1度は来る渓なので、駐車場所も決まっているのだ。

ジムニーのエンジン音が渓に響き、さらにセフテーエアーホーンを高ら

かに鳴らして、熊に釣りバカが来たことを知らせる。

身支度だ、身に付けているのは脱いで、ウエストハイウエーダーから

身に着け、腰ベルトには熊対策をセット、ベストには釣仕掛けが入って

居る、その山釣りの身支度ほど、快感を覚えるものはない。

これからその渓歩きをするのだと、渓谷は狭いが流れは充分、青みを帯

たその流れに改めて心が洗われる思いだ。しばらく右岸よりに、足元に

注意しながら進む、流れには大岩もあり、流木もあるよ、それらを避け

ながら。

中硬調竿を出す。餌を放り込んだ瞬間にジャボンと、飛びつい

て来た。早すぎるよ、こっちが未だ構える前に来るのだから。上流に走

り出したな、竿絞りだ、ガリガリ、グリグリ、とくる重さからはたいし

て大きくは無いなと感じられる、流れに沿って下って来た、具合よく目

の前の岸際の流れに沿ってきた、24cm~5cmくらいだな、竿を絞

られ、顔を見たくて引揚げ。

カメラを向けた。スマートで綺麗な体色、

白斑点。『もういいだろう放してよ』ううん分かった、

針を外して直ぐに放すよ、

遊んでもらってありがとう。 

               42




      喰い付いたら手元に来てから放流






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  を振りながら瀬や淵のポイントを狙う、

暫らく当たりの気配がなし、


それでも丁寧に淵の岩下を探した、


倒木流木の下にブドー虫を、振り込み、のんびり、


ゆっくり、 と渓の上流を目指す。何投目であったかな、


目印が足元の黒い岩下に吸い込まれるようにすれすれに流れてきて、


その目印が目の前から一瞬に消えて、竿を持つ手元にユックリ


引き込みを感じとれた。喰い付いているのだな、


岩魚も釣りバカもジーットしているよ、次の動きが来たら中硬調


の竿を立て流れから、引き寄せるぞ。ゼンゼン動かないよ、


それではと、こっちで引き寄せて、竿立てするぞ。オーオ上って来た、


何にも暴れないよ、おとなしく水面に顔を出したよ、


たいして大きくはないようだな、餌は呑み込んで針掛かりしている。


遊びに付きあったのだから、痛く無いように丁寧に針を外してくれよ、


と言っていようだ。分かった ワカッタ ゆっくり丁寧に外すよ、


流れに戻すから、


次に来た時には、もっとデッカクなって居ろよ。

               44




        飛び付いた 岩魚君





               45



青空には残雪の山並みが輝き、


季節の躍動感が伝わってくる、


春の陽気に包まれた、森 細渓 草木の息吹を全身で受け止め


ながら、流れの澄んでいて、岩魚君達と、遊べそうな渓に下り立つ。


雪融けで水嵩がちょっと増しているが、流れは穏やかだ。


その流れの落差の低い、落込みからのカーブの途中にある、


深みのある淵に餌を振り込む、振りこんで、餌が未だ水面に


有るうちに、元気な岩魚君が、その針付餌に飛び付いて来たよ。


淵の流れから沈み込んで、ゆっくりと、深く喰い付つき、コツコツ と


軽いアタリから、ガンガン グリグリ と強引な引き込みを


するのが 源頭域に生息する岩魚属なのだけれど、今日の岩魚君は

 未だ若い岩魚君のように見える、


それでも勢いだけは一人前だよ。


              46      



    精悍な面構え 魚ではない、獣を思わせる






               47



精悍な面構え、


その棲息域としている源流部を取り仕切っている


魚族の社会関係があるようだ。


それでも、細身のしっかりした体つき、


体側には白い斑点が一面に散らばっている、


釣り上げられた、釣りバカに対しても、


怖さを感じないで 『早く流れに戻せ』と言っているよ、


本流から支流、堰堤も滝も通り越してその支流の最源流部、


そこは激しい落差の落込みの連続、


そこに連なる淵は深い生息域を確保している、


瀬はちょっと狭いよ、淵に落ちてくる餌、


流れてきた水中昆虫を餌にして、生活しているのだよ。


稚魚と言われる頃でも、流れてくる餌に対しては鰭をピンと張って、


細身の体を小刻みに動かして示唆行動


をしながら餌に飛びつくのだ。

                   48



     ネット引き上げ









               49


  深い淵の上流にソート振り込んだ、


アタリがないまま、ゆっくり流れ下ってくる、


あれー、目印が止まったので、又 上流に振り込もうと思って、


ゆっくり中硬調竿を上げようとすると、ずっしりと重かった、


そしたらユックリと穏やかに引き込み始めた、


最初は穏やかだったが、しだいに激しく引き込み始めた。


暴れ始めた、デカだよ、


簡単には引き上げられなさそう。


しばらく、引き込み任せ、引き回し任せだよ、


中硬調の竿の柔らかさ任せで、


あやしながら慎重に引き寄せ始める。


岩魚君も くたびれたようだ、


岸寄りに引き込むと寄って来るよ、


慎重にネットに誘い込んだ。

                 50



         やっと引揚げサイズ








             51



  俺も遊びに付き合ってしまったよ、


ブドー虫が美味しく見えたものだから、


喰い付いてしまったのだ。


釣りバカも喜んだようだ、


十分に振り回してやったから、


中硬調の竿が弓なりにしなりながら、


流れの上流、下流と走り回ったようだ、


俺をゆっくりと引き上げる為なのだよ、


強引にやったら糸が千切れてしまうし、


又 竿も折れてしまうかもしれないし、上手にやってよ、


釣り上げてから、カメラに撮ったら、流れに戻してよ。


うん 解った、デッカいよ、それに重いよ。


遊んでくれてありがとう、


又 来シーズンに来るからな、


よろしく 遊んでね 。

                   52



      日陰から引っ張り出したぞ








              53




      斜光の射し込む流れ





                 54



  樹木の間隔から射し込む強烈な陽光、


流れのカラーまで換っている、流れが穏やかなので、


そのような、状況なのかもしれない。


でも、このような流れは、見ることがないよ。


その、流れからも、


喰いついてくるよ。

 




                    55




      深く食い込まれた釣り針

    釣りバカと引っ張り合いをした


    針が深く刺さったよ



                 56


    針が見えないほど飲み込んだのか





    暴れ岩魚君、振り回されたよ



                   57



      岩魚の叫び





                58







 おら達を遊び相手にするのだったら、


もっと丁寧に扱え、


冷たいよ、雪の上には置かないで、


針を外すのも痛くないように、


丁寧にやって。


撮影したら、早く流れに戻して。


解った、解った、楽しみました、ありがとう。


                   59


       岩魚の目
















            60


 釣り上げられたからと、

釣バカ、を見詰めているだけではないのだ、

今 生きている森、渓谷の流、

それに一番大事な大自然の全てを

この精悍な目で見詰めながら、

生息域である源流の淵、瀬、

そこに目に付く餌を素早く確保するため、

それが俺たちの目だ、

それに仲間同士での上下関係もあるのだよ、

それも見定める必要もある。

          61



   目一杯生き、棲息域を賑やかにする、又 繁殖を促す。









          62



カメラを構えた俺をじっくり見詰めているのか、



睨めているのか、



生きるために一番大事な機能、



それが目のはず、



生息場所の選択、生息環境の中で、



生育するのに何が一番大事かも、


目で確認してからの判断かも。



でも、今、流れてきた餌は判断できなかったよ、



まさか針が付いて居るなんて。


                 63




     暴れまくる尺岩魚









              64





 目印がフラット小さく上流に動いた、

すかさず中硬調をゆっくりと立てる、


グリグリ、ガリガリと竿絞りだ、


上流の淵に引き込んで行こうとするのか、


そんなに乱暴な引き込みはしてこないが、


明確すぎる手応えが伝わってくる。


ゆっくり力強く引き込まれて、竿は弓なり状態、


これは確実にデカだな、と実感する。


大物だよ、慌ててはいけない、


慎重に竿操作をしながら引き寄せに架かる。


岩の岸辺の緩やかな流れに引き寄せる、


バシャバシャと暴れまくった、


デカが見えたよ、


尺をゆうに越えているぞ、糸切れに注意しながらゆっくりと


岸に吹きよせる。


相手の重さがいっきに興奮を高める。


それでも、やっと引揚げた、


尺越えだよ。33cmの尺越えデカ。

                  65



食べたよ 美味しい餌を






               66




食べたよ 美味しいブドー虫 



針掛かりしてしまった、



釣りバカが直ぐ放してくれたよ




ありがとう




自分は これからデッカク生るのだよ、




いっぱい水虫昆虫や 




水に落ちる蝶々なんか、お腹いっぱい食べるのだ。




好物を食べるのだ。

 

                 67




     早春のデカ岩魚






               68



 遠くに見える山脈は未だ真っ白、

今日、入渓している渓谷、

源頭部の斜面岩壁も雪壁がへばり付いている、

いつ崩れるか分からないよ、

警戒しながらの遡上だ、

その渓流の流れの水温は、5℃ 、

やっと岩魚君達が動き出せる流水温だ。

冬期間は食べる物も無で、ジットしていた岩魚君達も、

餌探しに動きだせる季節に成ってきたぞ。

そこに、美味しそうな餌、

ブドウ虫が流れて来るのだもの、

飛び付いてしまうよ、

ガリガリ、グリグリと引っ張り回した、

釣りバカが喜んでいるよ、

雪の上に下ろされたら冷たいよ、

早く流れに戻して。うんうん、分かった、

遊ばしてもらったな。

すぐに流れに戻すよ、ありがとう。

                69



        斜光の引き合い






               70




 

 幅広い流れの落込みで、その下の淵も広かった、


その淵での当たりが、ユックリと、引きこんで行く、


手元には重さを感じるだけ、


ガツガツ、ゴツゴツの引き込みはないのだ、


中硬調の竿はもう弓なり状態、引き込みは此処までだ、


竿にも、糸にも、もう余裕がないよ。


ゆっくり引き寄せた、そうしたら突然暴れ出したよ、


深い淵から石ころの見える瀬に出て来た、


引っ張り回して暴れまくっている、ちょっとデカだ、


射光を浴びた瀬で暴れまくるよ、こんなの初めてだ、


岩魚君が遊んでくれる、面白いよ、無理に引き寄せないで、


岩魚君任せでグルグルやっているよ。


岩魚君は針を外そうと必死なのだろうな、


いいよ、いいよ、今引揚げたら、針は外すよ、それから流れに戻すから、


そろそろ静かにしたら、岸に寄ってきてくれ、


流れに戻すよ、遊んでくれてありがとう。



                  71


        暴れまくる岩魚君





               72




  支流の支流、最源流部の魚止め滝、


深い淵からの暴れ君。


釣りバカも深い沢を登ってきた疲れが、一瞬に取れて、


岩魚釣りを楽しませてもらっている、


岩魚君にしたら、この餌はなんだ、


この痛いのはと、暴れている、


解った、わかった、遊んだから流れに戻すから、


針を外すから、


ちょっと待ってね、


ありがとう、


流れに戻すよ。

 

                73




       暴れまくったデカ岩魚、満足できる面構えだ





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 振り込んで、即、ガグーン来た、そのまま、



グリグリと深い淵に引き込んで行かれた、



糸切れ、竿折れ、寸前状態、淵の岩下に入ったかな、



動かなくなった。 しかし、引き寄せようとしても寄ってこなかった、



そのままの状態で、暫く待つよ、



おー寄ってきた、岩魚君も諦めたようだ、



ネットを使わないで岸に引き上げた。



42cm、シーズン最大だ、



岩魚君も頑張ったが、釣りバカも頑張ったよ。


                  75



     体色、斑紋、白班点、いろいろ









               76










  俺達の 体色 斑紋 はいろいろだよ。

俺たちの生態をひもといてみると,

本流で育って、その本流からの支流、さらにその支流の支流、中流域から

源流域、途中に滝や堰堤が在ると、その上流と下流域、

又 流れによって、

渓谷の周りが落葉樹林帯だと流れに落ちる枯葉の色で流れの色が変わり

体色が変わる、

又、流れの底の岩、砂利の色で、体色に変化が出る。

斑紋の違いは支流が変わると斑紋も違ってくる、

これはそこに長く生息する集団の斑紋、変化のようだ。

             77



    自然繁殖行動







半年で体長がこれ位かな


                78




仲好しの 雄、雌の産卵行動のようだ、


紅葉の時期は岩魚の産卵期、産卵が近いので2尾から数尾が列を


なして流れに乗っているよ。白灰色の小さな斑紋が一面に散っている、


黒い胸ビレと腹ビレの先端フチが白く縁取りされている、


これが岩魚だけの印し。


産卵行動は、雌岩魚が流れの無い淵等で、


尾ビレで小石、砂を掘って産卵床を作り、


そこに産卵する、そこに雌に寄り添った雄岩魚が射精し、


雌が受精卵に砂礫を被せて完了です。


東北北部での卵からの孵化(ふか)は、2月から3月ころのようだ、


卵の埋め込まれている、沢の中で行われ、


孵化時の全長は14mmから16mm程度だそうです、


そこから半年くらいで、釣りバカ、の竿に掛かってくるのかもしれない。


がんばって掘った産卵床も見えるよ、


仲間を いっぱい増やしてね。


自然が教えてくれた舞台での大仕事が展開されるのだ。




               79



      早春の幼魚 岩魚ちゃん







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  澄んだ水、青い淵に白泡と渦を巻く流れ、


山の渓谷の美し眺め、こんな自然のなかで、


何もかも忘れて岩魚を釣り上げる気分は、


生活の中では考えられない程の愉快に、楽しめるものがある。


山岳渓谷での遅い雪解けを凌(しのい)できた岩魚たち、


今ではまだ、乏しい水中昆虫や雨で流れに落ちる昆虫類、の餌に


喰いつける時もなく、ちょと、飢えているかも。


そこえ、美味しそうなブドー虫なんかが流れ込むものだから


飛びついてしまうよ。


喰いついたのは、幼い岩魚君だった、


普段は、これから、一杯出てくる、好みの川虫、カワゲラ、


カゲロウ、又、石を起こすとチョロ虫もでてくる。


いろいろ居る川虫を探しながら食べているのだろう。


いっぱい食べて、


早く大きくなってと、流れに戻す。

                   82



      茶体色に白斑点を散りばめたデカ









                83


 

  足元から流れが切れたと思ったら、

 倒流木の下を流れていた。



ほう、こんな事もあるのだ。



その流木の流れの下からのデカ岩魚、



茶色の色つきも、



頭部分と体長部では色の濃淡があり、



白斑点も大小ちりばめ頭まで、



賑やかな体面だよ。



棲息、そして、隠れ場所によっての



体色だろうな、



こんなにハッキリと、



色調変化しているのも珍しいな。

      

                    84


      エゾイワナ 綺麗な斑紋








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  今日も、いい感じに振込だ、

 たちまち岩魚が喰い付いてよ、



グイグイ、ガリラリ、ガッチリ引き回すよ、



力強い凜とした気品に満ちた渓流の岩魚。



きっと雄だな、針が掛かっているが立派な顎、



それに縁が白く描かれた腹鰭を持っている、



暗青色の背中に雪を思わせる白斑点がちりばめられている。



これが自然豊かな渓谷に棲む岩魚なのだ、



美しさと野性味が、なんと見事に調和した姿だろう、



その精悍な面構えも、野獣を思わせるよ、



自分も自然を想い、



生きることの歓びを感じる。

           

                86


      棲息域の流れが緑色








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   棲息域に水草が多く、



水流も緑色になって目に入る、



そこを棲息域としている岩魚たちは、



体色が生育環境にそった



緑色の体色となる。



その流に体色を変化させるのが岩魚なのだ、



身を守る為に、



棲息環境に沿った体色になるのだ。

 

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      大物だ、流れに戻す








               89



目印が ふらっと小さく横に滑った、



中硬調にも感じられた、そうーっと竿を立てると、



グイ グイと引き込まれ、目印も見えなくなった、



重いぞ、その衝撃が竿を握る手元に伝わってくる。



きた、キタ、間違いなくデカだぞ、



一瞬止まった動きが、急に流れの下手に走り出した、



中硬調が目一杯、弓なりに引き込まれた、



グイー、グイーと強い引き込みだ。



大物だ、慌てないで慎重に、竿を立てて糸を引き込み、



岸辺に緩やかに引き寄せる、



バシャバシャと暴れまくるよ、



尺を超える白色斑点の綺麗な姿を見せてくれた、



ゆっくりと岸に引き寄せた。



針を外してから、カメラに収めて、流れに戻す。

     

                     90



     デカ岩魚(32,37、38cm 頭部までの白斑点)








                91



 

  連続のデカ、



釣りバカも本当にバカに、なちゃうよ、



舘の溪、だと他の釣り人が入らないので



シーズンに一度、



この溪に来ても持ち帰りをしないで、



来シーズン迄、



もっと大きくなってと



流れに戻す、



来シーズンには40cmオーバーだな、



楽しみだよ。

 

                 92



        岩魚の群遊






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  細い支流の、狭い瀬で、



こんな群遊は珍しいよ、



初めて見るよ、



即カメラを向ける。



普通の細溪では、一ヶ所の淵に1尾、



1ヶ所の落込みに1尾、瀬で泳いでいるのも1尾、



それなのに、この集団は何だろう、



何かあったのかな、細溪の集会でも会ったのか。



竿を振っての餌出しはしなかった、



眺めているのが楽しいのだ。

           

                    94



       飛び上がった岩魚






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  釣りバカの遊びすぎだよ、



こっちは、引きずり回すのも必死なのだよ、



引っ張り回すものだから楽しんでいるよ。



釣りバカ が なかなか放してくれなかったので、



自分で飛び上がって、細い糸を千切ったよ、 



針は付いたままだが、後に自分で外すよ。

 

                     96



      稚魚を喰う岩魚









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竿先をちょっとゆすり、握りには緩く、ゆっくりと引き込んで行く、

根掛かりかと思いながら竿をちょっと立ててみた、引き込みも、

振り回しも無い、釣れているのかなと思いながら竿を立て込んでみたら、

釣れているのだ、やっと引き込みが始まった、喰いついているのだ、

ようし釣り上げるぞと、中硬調を絞られながら岸に引き寄せた。

  なんだ、なんだ、これは、釣れたのは岩魚に間違いないが、口元は何だ、

手元に捕るまで解らなかったよ。小魚を咥えて居る、

それなのに釣りバカが振り込んだ、針付きブドウ虫、にも食らい付いたのか。

この小魚が何の稚魚かなと、釣り針と一緒に口から引き抜いた、

岩魚か山女魚かどちらだろう、尾だけは傷が無く解るが、

体側、背、は溶け込んで青色、茶色っぽいのは無く、

白色っぽい色をしていて、パーマーク、斑紋、斑点、は見えないよ、

側線も見えない。

判断出来るか所は、体長から尾の手前、チョットだけ体色が確認できる、

そこには側線が無く、白斑紋らしいのも見えない、このことから、

この飲み込まれた魚は岩魚の稚魚ではなく

『 山女魚の稚魚 』と判断しよう。岩魚の食は貪婪(どんらん)なのだ、

流れてくる物は何でも食すると言われる、水中にいるカエル、

それに流れに落ちたノネズミも一呑みだ.この野性味、

獰猛さが自然界に生きる岩魚なのだ。

岩魚の共食いでなかったので、まずは一安心。

 

                 98



    不思議な岩魚の顔  チントウ岩魚














              99


岩見川支流三内川から岩見ダムから三内川の支流は太平山、白子森、


と周辺の山岳から蓄えられた水が各支流よりダムに注ぐ、



その支流源流部に『 チントウ岩魚 』が棲息している。



秋田県では米代川支流源頭部に昔から棲息していて、奇形魚、



また昔から棲息していたとすると突然変異とは考えられない、



又、氷河期に溪に閉じ込められ



岩魚が近親交配を繰り返し変化した可能性もあると言われている。



上顎が切り取られたように目の直前で無くなり、下顎が突き出ている



2012年、2013年、2014年岩見ダム上三内川各支流から



4尾針掛かりする、撮影後元の溪に放流する。

 秋田魁新聞1990.7.14.掲載)





             岩魚 と 山女魚



        岩魚 イワナ                   山女魚 ヤマメ       

 

               101




 渓流の流れで、それぞれの、生息域は、



上流源流域を岩魚君達が占めていて、



その下流中流域を山女魚さん達の生息域だよ。



その流れの違いには、水温の違い、下流域が



少しずつ水温が高くなるよ、



又上流域と中流域では水中昆虫の種類もそれぞれ違う異種だが、



食性はそんなに違わない。



釣り餌のブドー虫にはどちらも喜んで、



飛び付いて来るよ。



一般的な見分け方は、



体側に小判型の斑紋(はんもん)パーマークが並んでいるのが山女魚、



それに対して小さな丸く白い斑点(はんてん)スポットが一面に



散らばっているのが岩魚。

                 102




         山女魚の異種か



    


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   渓谷の最源頭域の岩魚域で、中硬調竿を絞り込んできた、

 暴れまくって、竿絞りをする、太い魚体を岸に引きずり上げた。

 山女魚にしては、ちょっと変だなと、詳細を繰り返す。

 胸鰭(ムナビレ) 腹鰭(ハラビレ) 臀鰭(シリビレ) それぞれの

 鰭に白色縁取りがあるよ。



山女魚には白の縁取りは無いはず。 



斑点が黒いので岩魚君ではないよ、



山女魚の特徴の体高がデップリとあるよ。



山女魚の異種だな。

             

                   104



      山女魚が針付餌に浮き上がって来た









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  流れに見えていた山女魚が、



針付き餌を放り込んだら、



スート浮き上がってきた



餌は咥えないで、



釣りバカに挨拶しに浮き上がってきたように見えたよ。



たいして大きくないよ、



15cm程のカワイイ山女魚ちゃんだよ。



写真撮影の余裕があったよ、



カメラに正面を向いた画像は初めて、



山女魚ちゃん ありがとう。



この後、針付き餌には食い付かなかった、



利口な山女魚ちゃんだったようだ。

 

                   106



踊り子草 オドリコソウ の咲く溪








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   自分の山遊びの渓谷で、この踊り子草



の咲く溪は一ヶ所だけ。



今日もそのオドリコソウが咲いて居るかなと、



ジムニーを廃林道の斜面に乗り上げながら駐車して、



暫く藪漕ぎして、溪に、樹木、枝に捕まりながら、



流れに降りた。



でも、ここから未だ暫く溪を遡上してからでないと、



逢えないのだよ。



硬硬調の竿を淵毎に探り、振り込み、



岩魚君達と遊びながら、ゆっくりと遡上する。



お目当てのオドリコソウがもうすぐだ。



おおー咲いている、 ワンシーズンにⅠ度、



この花を見るのが楽しみなのだ。 



わおー、今年も踊っているよ、みんなで賑やかに踊っているよ。



『 いらっしゃい 釣れましたか 』 



何人かの踊り子達から, お声がけだよ。



流れのそばの岩に腰掛けて、じっくりと眺めながらカメラに収める。



毎シーズン 踊り子たちから、



優しく声を掛けてもらえるのも楽しみなのだ。



笛や太鼓は鳴っていないが、流れの音だけの静かな山あいでの再会は、



ここまで、遡上してきた楽しみが沸いてくる。



じゃ、また来シーズンもよろしく。


                108




     カタクリの大群生











         109



  車から降りて、釣行装備、熊対策を身に着けて、



林道を登る、暫らく行くと、林道から廃林道となり、



足元が草、木でぐしゃぐしゃ状態、まるで獣道、



でも、そうゆう状態でもゆっくりと歩むのも、



ひややかで気持ちが好い。



カタクリの大群落だ、足の踏み場がないほどの群生だ。



長い冬の雪の下を、乗り越えてきたのだ。



広く開けた、緩やかな斜面に、積もりつもった枯葉を押し上げて、



カタクリの大群生がいっせいに淡紅色の花をひらいている。



夜明け前、気温の低い日、それに雨降り、



そのような日のカタクリは、蕾のままうな垂れているが、



お日さまが出て、気温が上って来ると、見る間に反り返り、



紅紫に染まりきってくる。



秋田で、4月下旬から5月仁、御日様の射し込む渓で、



イカリソウ、イワウチワ、イワナシ、エンレイソウ、等々、先を競って



目出しから開花へと渓を彩り、その姿をまざまざとみることが出来ます。



山はすっかり新緑が始まって、いちどに春がきて、駆け足で夏に移ろう



としているのかな。

 

            110



        早春の白鳥

 





              111


早春の遠い山並には未だ雪が残っている田んぼで、

おびただしい数の, ハクチョウが鳴き騒いでいる。 

一斉に舞い上がって、旋回を、繰り返し、

 

舞い降りたりする群れ、

 

     集団の横一列の低空飛行群など、

 

さま、ざわだ。

 

     北への渡りに備えているのだろう。

 

      一生懸命、餌を頬張っているようだ、

 

長距離飛行前の腹ごしらえだな。

 

     がんばって

 

  

                   112




       びっくり 熊ではなかった









                 113



    斜め後方でチラット動く影を、目の端で捉えた、



驚いて、そうっと振り向くと、



山肌に取り付いた、なにやら黒い影がうごめいている、



こっちも太い木に隠れながら、



よく見ると熊ではなく、山菜採りのようだ。



びっくりしたよ、



熊でなくて、ほっと胸をなで下ろした。



でも、この辺には 獣道が在るし、



未だ新しい熊の糞も在るよ、



やっぱり、近くに居るのかも、



注意、注意、一番怖いのは、



出会い頭、と、子連れの親子熊、



これを避けよう。

    

                   114



        釣行時の熊対策

     獣道、熊の食痕、糞痕、樹木の皮剥、肉厚山菜を食する














                115





  山釣り、渓流釣りは自然を相手に遊んでいるので、



熊に遭う、逢う、遭遇することも、まるっきり、自然の,なすがまま、



それに備えて準備するのが、楽しく遊べる技だな。



出遭い頭での遭遇を避ける事だけは完全に準備する。



自分の場合は 釣行時間は朝の林道走行から車から降りるのは



9時前後、それから釣行下降地点までセフテーエアーホーンを最大



音量で甲高く鳴らし、自分の存在を熊さんに知らせながら廃林道



から薮を掻き分けながら釣行地点に下降する、



其処からの釣行時には, エアーホオーンは中音で時々鳴らす、



熊鈴もカランカランと渓に響いている、蚊取り線香を燻す,



音で知らせて、臭覚が強いので臭いで知らせる、



要は釣りをしている自分の存在を熊に知らせる方法です.



人の居るのを自覚したら近づいては来ないはず。



まずは出会い頭を防ぐことだな。



その日の釣行終了は午後2時頃までで、3時までには車に帰る。



この時間帯で, 熊さんと向き合った事は1度も無い.



釣行前後の林道、廃林道、樹木林、で、ガサガサ、



ゴソゴソと低く聴こえて遠くに居るのを、見たり、



斜面を登る時に上から、登って来るなと、



うーうー ウーウーと威嚇、で、唸られたり。



自分の周りにある樹木の皮を剥ぎ採る、この剥ぎ取りは、



熊の自分の棲息範囲、テリトリーを主張する為の行為だよ、



それによって、熊が一番怖がっている人間が,自分のテリトリー



に入り込むのを嫌うのだ。



それでも、山に入ったら出会うのが当たりまえとの思いで,



緊張感の構えでの行動が、



山釣り、渓流釣りの釣行なのです。

        

                116


    釣魚大全『1』 世界NO1の釣行記、釣り歴史書籍

  ( 1653年初版 イギリスの作家 アイザック ウエルトン 著作 発行 )


 イワナ と呼ばれる


ランカシャーの人たちが誇りとしている魚、



それは イワナ と呼ばれている



その体長も 15インチから16インチ



38,1cmから40,6cm)と言われる



マスのような斑点もあり、非常に珍しい魚だと珍重されている



イワナに付いての本書記載は7行のみ )





              117


  大地は人間を養い、また人間に食物と娯楽を提供し、


獣も養う。



其の人間が最初に扱う元素が水である、



生物を生み出す全ての物体は水からなっている。



水は大地より生産的です、大地は雨や露がなければ、



決して豊かな実りはもたらしません。



あらゆる草と花と実は、水によって生み出され栄えるのです。



鉱物も地下を流れる水によってやしなわれる。



水の中で生まれ育った生物がどんどん繁殖し、



数を増すさまは不思議なこと



より実際的で簡便な釣りの指南書の体制を持つ本。



イギリスでのフライフィッシングの新しい知識と方法は、



当時の釣りの状況を知る上で貴重であるだけでなく、



豊かな釣り文化を伝えるものとなっている。



イギリス棲息魚類から69魚介類が本書に登場している。

 

                   118



          岩魚の大好き捕食餌 ブナ虫





 岩魚のお腹から取り出した、一杯出てきた




途中、拾った落下していたブナ虫         落下昆虫、この虫は解らず


             119





    ブナ林原生林、小枝を掻き分けながら斜面を渓谷まで

下降する。途中に足元に落下ブナ虫を確認できた、8月下旬だから

     これからが落下の時期かな、きっと 岩魚も食べているはずと、



想いながら、釣行準備をする。



途中で拾った、ブナ虫を針に付けて振り込む、即、ガリ、ガリ、



来た、ゆっくりと引き上げる、やっぱり、お腹いっぱい食べている、



針は外ししてから、お腹を開いてブナ虫を出した、腹が膨れ上がって



いたので凄い量、こんなに食べるのかと思うくらいの量だよ、びっくり、



岩魚君、お腹を開いて、ごめんね。



今の時期、渓谷添いにブナ林があったら、最高の釣りポイントだな。

           120




 

           溪歩きの独り言Ⅱ

          岩魚の舘

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                   阿部 正幸

 
























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