6月13日 熊の臭いのする渓へ
 
 郡境を超え、尾根ルートの林道に出る。ここまで登ってくると周りの山並みを一望でき、また今日入る渓をブナ原生林の谷底深く覗き込める。尾根ルートで南側に面した斜面を黄色く覆いつくすほどに咲き誇っているエニシダは 凄い、と一瞬車を止め見入ってしまう。



 入渓準備をしてマタギ道に歩を進める。うっそうとした杉植林地を横切り、春熊の猟場に繋がる杉1本をワイヤーで吊るした橋を渡る。この橋も腐ってくるとそのつど修復されているようだ。雪代がまだ収まらない早春にこの山に向かうと、バカナガを履いていてもここを横ぎることが出来なく、この橋の厄介になる。



 猟場に向かう仙道の足元を確かめ、熊鈴をチリンチリンと鳴らしながら入渓地に向かう。今の時期、熊はもっと上に登っていっている。以前(2004.5.8)にこの場所で一緒になった、阿仁マタギのシカリが話していたことを思い出した。柔らかい若芽、それにタケノコ と、食べる物を選んで山を登るのだと言っていた。





 40分程、ブナ林斜面を登ったり、下ったりしながらし入渓地点到着。1投目から竿を絞り込まれた。油断していたので竿をタタミ、立てるのに必死になる。1本目からデッカイぞとゆっくり引き寄せネットイン。もしかして今シーズンこの渓の初入渓者かも知れないと同行のS氏とにっこりうなずく。この源頭は雪代が収まると同時に入る我々と同じ釣りバカが居るのに、今年は今日まで誰も入らなかったようだ。次から次と竿を絞る。それも大きい岩魚たち、3〜4年魚だ。





                 

 30cmを超えると顔つきも精悍な岩魚になる。雄は上顎が下向きに突き出してくる。





 ネットで受ける30オーバー。昨年、我々はこの渓に登ってなかったのだ、という事は2年間釣行者が入っていないことになるのかな? このサイズがそろうと言うことはそれが正解だ。この後も誰も入ってくれないことを祈る、無理かな。





 ひきずり、たぐり寄せて なお足元で暴れまくるビックサイズ岩魚。デジカメを構えて3枚シャターを切ったところで0.6号の針糸をチギッテ逃げられた。8号岩魚針を付けたままだ。オトナシクシテイタラ針を外して放してやったのに、かわいそうな事をした。写った姿は爬虫類の写真みたいだ。
針を飲み込まれた5本を除きリリース、来シーズン再び逢える事を念じて魚止めの滝を後にする。



 岩魚釣りを楽しんだ と言うより 岩魚との勝負、熊がミョウサクの若芽を喰んだ痕を見ながら緊張の連続だった今日の4時間、ちょっと疲労感あり。渓の淵に咲いていた遅咲きのオオバキミゾホオズキをめでながら小休止。同行のS氏も満足しきった様子で『餌を全部使い切ったぞ』と餌箱を逆さに振った。



 帰りのブナ林床でのフタリシズカ



 子供の格好、ロボット? にも見えるショウキラン。

          


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